ファーストインプレッション

2009年11月30日 (月曜日)

No Smoke, No Mirrors / The Holloways

Nosmokenomirrors プロデューサをClive Langer and Alan Winstanleyから若手のTristan Ivemyにスイッチした約3年ぶりの2nd。前作で見せていた有無を言わせない爆発力、気持ち良いくらいにアッケラカンとした表情で突っ走る若者らしさは残念ながら大きく後退。

ただ、冷静に考えてみると、前作の弾け具合がある意味常軌を逸していただけで、このくらいのスピード感が普通であって、しかもカラフルさとポップさを充分に維持&強化された内容は、「若さを失った」などとウジウジ文句を言われる筋合いはないような気も…

確かに、最初に聴いたときには一番の持ち味だったシンプルさとスピード感が弱くなったのにガックリ来たものの、何度か聴き続けていると、前作での弱点だったやや一本調子さはキッチリ解消され、作り込み過ぎない範囲で見せるバリエーションの豊富さも成長の証。

そして、何だかんだで、今や結構お気に入りの堅実なポップアルバム。

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2009年11月29日 (日曜日)

Embryonic / The Flaming Lips

Embryonic 約3年半ぶりの12thアルバムはここ数作のドリーミーなポップ路線から大きく方向転換。と言うように聴こえるものの、実は優しげなメロディの向こう側で常に渦巻いていたエキセントリックな面が、平衡状態を破って表面に染み出してきただけ。

従来のようなメロディとアレンジを持ち合わせている曲もあるものの、背後で鳴らされているノイズやSE音の比重が高いこともあり、そのドリーミーさは以前とは異なり、うなされるようなドリーミーさ。そして、全体を通したサウンドは、完成型のポップミュージックを敢えて素因数分解し、個々の素数を他との依存関係を無視して拡張したような歪さと時折見え隠れする原型が共存したような印象。

既にファーストインプレッションと呼べないくらいの回数聴き込んでいますが、正直言って未だに良いアルバムなのか悪いアルバムなのか評価が出来ない状態。得体の知れないアグレッシブさとエネルギーの強烈さを感じつつも、曲数の多さとエクスペリメンタルな要素が過分なこともあって最後まで集中し続けることが出来ず、"The Soft Bulletin"以降では一番入り込みづらい内容。

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2009年11月23日 (月曜日)

11:11 / Rodrigo Y Gabriela

1111 2008年のフジロックにも登場したメキシコ出身の超絶テクギタリスト2人組の3rdアルバム。もちろん、ラテンっぽい曲調も多いものの、絶妙に絡み合うギターが織りなすサウンドはロックからダンスミュージックまでを俯瞰するジャンルレスな内容。

とにかく何がスゴイって、ギターだけを使って、ドラムス、ベース、キーボード、ボーカルなどの他のパートまでを奏でてしまうこと。時に繊細に弦を爪弾き、時にエネルギッシュにボディを叩き、コードを掻き鳴らすことで、1種類の楽器でここまで表情豊かな音楽を作れるってのは目から鱗。

ギタリストの「俺のテクを見てくれ」的エゴイズムが前面に押し出されることはなく、2人が自らの役割を淡々とこなすことによって、見事なダイナミズムを創出し、結果的にギターソロ的フレーズのインパクトも増幅。もちろん、ギターのみで表現できない限界が見えることはありますが、必要十分以上の艶っぽさを持つ楽曲群には脱帽。

特に、ヘッドフォンをして大きめの音量で聴くと、音の左右へのパンニングを含め、細かい音やフレーズの散らし具合も工夫が凝らされていて、そのクレバーさには恐れ入るばかりです。来年1月の来日公演には行けないけど、きっとやってくるだろうフジロックでの再会を期待。

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2009年11月 3日 (火曜日)

In This Light And On This Evening / Editors

Inthislightandonthisevening 前作のJacknife LeeからFloodにプロデューサを変更した約2年ぶりの3rdアルバム。基本的な方向は継承しながらもエレクトロニクスが強めに導入され、仄かな温かさを感じさせた前作よりも、ヒンヤリした1stへの回帰が感じられる内容。

但し、息が詰まりそうに重苦しい序盤からビートを強めながら開放感を描いた"In This Light And On This Evening"、打ち込みっぽいリズムとシンセサイザーでスペイシーな音場に明暗のスポットを作り上げた"Bricks And Mortar"、さらにシンセサイザーの比重を高めた"Papillon"など方法論は大きく変化。

特に、これまでは「明」の密度の変化によって「暗」を浮かび上がらせるアプローチを取っていたものの、今作は直接「暗」の音を使ってサウンドスケープを描出。そんな即物的な手法のせいか、アウトプットの楽曲スタイルは従来と大きく変わらないにもかかわらず、全体的に深みが足りず、作品としての印象も中途半端。

好きな部類の音だけど、この手の内容だったら、別に彼らの曲を聴く必要はなさそう。

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2009年10月24日 (土曜日)

Never Cry Another Tear / Bad Lieutenant

Nevercryanothertear 元(泣)New OrderBernard SumnerPhil CunninghamJake Evansの3人のギタリストによるデビューアルバム。盟友Stephen MorrisBlurAlex Jamesが参加したサウンドは3分の2(4分の3)New Orderサウンドではなく、ギター指向な仕上がり。

もちろん、Bernard Sumnerのヘロヘロ歌声がフィーチャーされていているだけで、時々New Orderの面影が見え隠れする訳ですが、"Waiting for the Sirens' Call"と比較しても勝っている部分がほとんどなく、どうにもスッキリできません。

リードシングル"Skin or Swim"や"This Is Home"など、「らしい」と言えば「らしい」楽曲が散見されるものの、メロディのクオリティが如何せん低く、New Orderのアウトトラック集を聴いているような微妙さ。まあ、比較しても意味がないってのはアタマでは理解できても、80年代初頭からのリアルタイム世代としてはこれじゃ納得できないというのが本音。

あと、そんなノスタルジーに邪魔されない非リアルタイム世代がどう感じるかってのにも興味津々。

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2009年10月19日 (月曜日)

My Way / Ian Brown

Myway 再びDave McCrackenとタッグを組んだ約2年ぶりの6thアルバム。タイトで抑圧されたリズムトラックにオーケストラを重ねてストイックながら艶のあるサウンドを演出した前作と比べると、カラフルで外向的、かつ多様なアプローチを見せた内容。

オフトーン気味のメロディにシンプルなピアノのフレーズを重ねることで冷たいグルーヴ感を生み出した"Stellify"、同じフォーマットながらリズムトラックを強めに押し出した"Just Like You"、ウェスタン風のトランペットのアレンジが絶妙にハマッた"In The Year 2525"など序盤から手放しで楽しめる展開。

甘くドリーミーなサウンドスケープを描いた"Always Remember Me"、バラエティに富んだ音をコンパクトでダンサンブルにまとめた"Own Brain"、スローテンポの中に自信が満ち溢れた"So High"など、自ら課して来たようなリミッターを取り払った楽曲群は、中途半端にフロアをチラ見して来たこれまでの作品よりも潔く、カッコイイ。

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2009年10月18日 (日曜日)

Flashmob / Vitalic

Flashmob 約4年半ぶりの2ndアルバムは前作同様、一瞬の閃光で耳を惹きつけて狂喜乱舞させるのではなく、淡々としたエレクトロニックサウンドを繰り返すことによって徐々に理性を浸食し、最終的にカラダを動かしてしまうタイプのダンスミュージック。

その分、「曲」という単位で聴いていると多少地味な印象もありますが、「アルバム」単位かつ大音量で聞き続けると中盤に差し掛かる頃にはいつの間にやらスッカリこのサウンドの虜。

とりわけ、大衆性とインテリジェンスのバランス感覚が絶妙で、ロック寄りのリスナーにも充分にアピールできるところも大きな強み。非刹那的な快楽的エレクトロパンクから微妙なロマンティシズムとメランコリーを感じさせるエレクトロポップ風楽曲までの品揃えも充分で、最後まで飽きることなく楽しめる内容。

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2009年10月12日 (月曜日)

Conditions / The Temper Trap

Conditions Jim Abbissプロデュースによるメルボルン出身の4ピースの1stアルバム。オーストラリアのバンドと言えば、JetThe Vinesといった無骨なロックの印象が強い(ステレオタイプを承知の上)訳ですが、このバンドは非常にイギリス的なサウンド。

感情を押し殺したAメロとそれを少しだけ吐き出すサビの対比が印象的な"Love Lost"、叙情的なギターのフレーズにエモーショナルなボーカルが重ねられる"Rest"、無限に拡がって行くU2のようなギターサウンドとファルセットボイスのコンビネーションが美しい"Sweet Disposition"など、異種/同種のサウンド要素を巧みにレイヤードした楽曲が目立ち、楽曲の表情も非常に多彩。

バンドのキャラを際立たせるための「選択と集中的メソッド」による音作りがされていないため、他の新人バンドのような「強烈な個性」はないものの、全方位的なサウンドはカバレッジが広そう。クレバーな面がマイナスに作用して、小さくまとまってしまう危険性を孕んでいる一方で、順調に成長すればスケール感の大きなバンドになりそうな予感。

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2009年10月10日 (土曜日)

Scars / Basement Jaxx

Scars 約3年ぶりの5thアルバムは、随所にパーティーミュージックっぽさを残しながら全体的にトーンは抑えめで、バキバキのデジタルサウンドを軽めに仕上げたかと思えば、ソウルフルなボーカルをフィーチャーするなど、オールラウンドぶりを発揮。

音自体は派手なのに、何故か楽曲としては明度の弱い先行シングル"Raindrops"や若干ソウルっぽさが強めに出過ぎた"She's No Good"や"Saga"の序盤は今ひとつピンと来なかったものの、ポップ路線に振った中盤以降は好みのど真ん中。

特に、ヒット曲を連発していた頃のErasureのようなボーカル&エレクトロポップ風アレンジの"Feeling Gone"、くすみ気味のメロディと間奏の意表を突いたシンセサイザーのフレーズの展開が個人的なアンセム候補の"My Turn"、BPMをグッと落としてシットリとまとめた"A Possibility"の流れは最高。

原色サウンドをふんだんに使いつつ、下品な内容に成り下がっていないセンスもお気に入り。

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2009年10月 5日 (月曜日)

The Resistance / Muse

Theresistance 約3年ぶりとなる5thアルバムは初めてのセルフプロデュース。基本的な路線は"Absolution"以降のサウンドの流れを汲んでいて、これまでの作品毎にフォーカスを絞りながら積み上げて来たオレ流ワールドの集大成に仕上がっています。

序盤の"Uprising"と"Resistance"で正統進化を見せると、物静かな序盤から大仰でオリエンタルな中盤、ショパンのノクターンが挿入された終盤と一つの曲で組曲的展開を見せる"United States of Eurasia (+Collateral Damage)"、神々しいまでに壮大な音世界を構築した"Guiding Light"、間に挟まれたオペラの曲よりもオペラに似合いそうな"I Belong to You"、ラストの"Exogenesis"3部作など、時空間とジャンルを股に掛けた内容。

ますます、好きな人を信奉者に、嫌いな人には徹底的に避けられそうな音になっていますが、これだけ様々なタイプの音楽が生産され、刹那的に消費されていくシーンの中で、54分13秒のどこを切り取っても一瞬にしてMuseと分かるアイデンティティの強烈さはトップクラス。

以前のような一気にステップを飛ばすような音楽的イノベーションこそないものの、目指してきた場所をシャープに映し出した進化には感心するばかりです。

さて、次は、どこへ進むんだろう…

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